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一般社団法人日本発達心理学会

 

■ごあいさつ

一般社団法人日本発達心理学会
第29回大会開催にあたってのごあいさつ

 日本発達心理学会第29回大会は、2018年3月23日(金)~25日(日)の3日間、東北大学川内北キャンパスにおいて、東北大学大学院教育学研究科との共催で開催することになりました。
 本大会のテーマは、「時間・関係・文化の中での発達心理学」としました。これには大きく2つの背景があります。第1に、2011年3月に発生した東日本大震災が挙げられます。震災から約7年が経過する中で、震災を経験した子どもがどのように変化したのか(時間)、子どもと大人とのかかわりはどのように変化したのか(関係)、そのような個人や関係の変化はどのようなコミュニティの中で起こったのか(文化)ということについて改めて考えてみたいということです。
 第2に、人の発達の過程と変化の要因をもう一度見直してみたいということです。発達心理学は時間の中で人を捉えることを特徴として誕生した学問領域だと思います。たとえば、特定の時期の発達的特徴を描くとしても、その時期の発達は後の発達にどのように影響するのか、あるいはその時期の発達は以前の発達からどのような影響を受けているのかといった視点を常にもっていると思います(時間)。また、人の変化は、個人の中に閉じて生起するわけではなく、ある環境のもと(文化)で人と人との関係を通して(関係)生起するものだと思います。
 このようなテーマのもと、招待講演にはAnn S. Masten氏をお招きし、“Resilience in Development Psychology:Advances in Theory, Research, and Practice”というタイトルでご講演いただくとともに、基調講演として、私、本郷が「社会性の発達と支援―社会化のエイジェントとしての「仲間」の役割―」というテーマで講演させていただきます。また、大会企画シンポジウムとしては「東日本大震災による心的外傷体験が子どもの発達に与える影響」「東日本大震災後の学校レジリエンス」という震災後の支援と子どもの発達に関する企画2件、「実行機能の支援がライフステージ全般に与える影響」「知的ギフテットの子どもにおける特別なニーズと支援」「国際化・流動化時代における成人期発達研究の課題と展望」「老いと生きる―長寿社会における「老いる」ことの意味と共生を考える―」といったライフコース全体に渡る企画4件を計画しています。
 3月下旬の仙台は、梅の季節です。肌寒い日もあるかと思いますが、大会で熱い議論を交わせればと思います。
 大会委員一同、多くの会員の皆様のご参加をお待ちしております。

2018年2月
一般社団法人日本発達心理学会
第29回大会委員長 本郷一夫