日本発達心理学会 第36回大会
  • 会期 2025年3月4日(火)~6日(木)
  • 会場 明星大学
日本発達心理学会 第36回大会

日本発達心理学会 第36回大会

大会委員長挨拶

 日本発達心理学会第36回大会の開催にあたり、ご挨拶申し上げます。

 新型コロナウイルス(COVID-19)の感染症法上の位置づけが、2023年5月をもって、インフルエンザ等と同じ「5類」に移行しました。日本発達心理学会大会も、第34回より対面開催に戻りました。今回第36回大会も対面での開催です(海外からの招待講演者の中にはオンラインによる参加があります)。

 本大会は、3年ぶりに東京での開催となります。対面での東京開催は、2019年の早稲田大学での大会から数えると実に6年ぶりとなります。明星大学・帝京大学・白梅学園大学という、東京の中でも西の「多摩地区」にある3つの大学が主催校となって、準備を進めています。

 大会のメインテーマは「わたしらしく生きて、活きる―生活の場における発達を問う―」です。コロナの災禍は3年余に渡って私たちの生命を脅かし、生活を激変させました。生命の安全を至上命令とする日々の中で、人との関わりや協働の中で日々繰り返され、その中で人の存在が形作られていた「日常の生活」がなんと貴重なものであったか、実感されました。また、感染症のみならず、現在、わが国の生活世界にある課題は多岐に渡っています。格差社会の広がり、治まることのない様々の虐待問題、子どもや青年の自殺率の高さ、「多様」な存在であることの生きづらさや居場所のなさ等、「わたし」が自分らしく活き活きと生きる豊かな生活を送ることが難しい社会になるばかりです。

 今大会のテーマは、生活から発達を見る、生活の文脈の中で発達を捉える、を目指しています。豊かな生活とは、標準とされる発達や能力の獲得のうえにあるのでしょうか。豊かな生活の保障と発達にはどのような関係があるのでしょうか。ひとり一人異なる自身の地域での生活の中で、どんな人も取りこぼされることなく、生活の主体として、自分らしく活き活きとふるまったり声をあげたりすることができる、それを他者と尊重し合うことができるような社会でありたい。そのためには、どのような理論的な検討や支援がなされるべきでしょうか。このような問いの下に、様々の大会企画を準備しています。

 会場の明星大学は東京都日野市に位置します(とはいえ、キャンパスは高尾山を抱く八王子市にもまたがっています)。「東京」といえば、都心部や23区が思い浮かび、多摩地区にはなじみのない方が多いと思います。しかし地理的には、日野市は東京都のほぼ中央に位置し「東京のへそ」とも称される場所です。「新選組のふるさと」としても知られています。会場校の目の前には世界屈指の広さを誇る、都の「多摩動物公園」があります。東京駅や羽田空港からのアクセスは決して良好とは言えませんが、多摩地区最大のまち立川市からはモノレールで約15分、雨に濡れることなく会場に入ることができます。東京という大都市にあるなかで、豊かな自然とゆったりとした風情を感じながら、大会に参加していただけたらと願います。

 多くの会員の皆様のご参加を、大会委員一同、心よりお待ちしております。

2024年7月
日本発達心理学会第36回大会委員会委員長
西本 絹子(明星大学 教育学部 教授)