10巻1号
◆幼児期の母子分離型と青年期の自己像:連続性と転機の検討(清水弘司:埼玉大学教育学部)
本研究は,幼児期の母子分離のタイプと青年期の自己像との関連を検討して,母子分離型にあらわれた母子関係の影響について追跡資科を提供することを目的としている。幼児期に母子分離場面を週1回1年間観察した年間推移パターンから,当初より安定して母子分離できる分離群(40人),当初は母子分離できないが最終的には安定して母子分離できるようになる安定化群(38人),最後まで母子分離が不安定である不安定群(30人〉の3群に母子分離型を分類した。高校生・大学生になった時点で,自己像と転機について追跡調査を実施して母子分離型3群問で比較した。分散分析の結果,自己信頼感は分離群が不安定群より高かったが,受動的自己コントロール・社会性・能動的自己コントロール・不安感は3群間に差がなかった。社会性には転機の影響が認められ,発達過程での体験によって変化が生じることを示していた。青年期の自己像との関連を検討してみると,転機の影響もあるので,幼児期の母子分離型が後の社会的発達を規定するという結果はえられなかった。
◆自我体験:自己意識発達研究の新たなる地平(渡辺恒夫:東邦大学理学部・小松栄一:早稲田大学大学院文学研究科)
自我体験の知られざる全体像を解明することが,本研究の目的である。まず自我体験を,「自己の自明性への違和・懐疑」と仮に定義した。この定義に関わりのあると思われる19の質問項目を選定し,質問紙調査を大学生345名(男性102名,女性243名)に実施した。質問紙では各項目の体験の有無について2件法で回答させると共に,最も早くから体験した項目と,その体験が最も印象に残っている項目について,自由記述を求めた。自由記述内容は仮定義に基づいて自我体験と見なしうるか否か判定され,140の自我体験事例が抽出された。因子分析の結果と事例の検討を併せることにより,自我体験の4つの下位側面が識別され,「自己の根拠への問い」「自己の独一性の自覚」「主我と客我の分離」「独裁論的懐疑」と名付けられ,それぞれの特徴が考察された。また,事例内容の詳細な分析により,4つの下位側面の間の関係が示唆された。また本研究では,自我体験の初発時期は児童期にほぼ集中するという結果が得られ,この体験が従来想定されていたような思春期に特有の現象ではないことが明らかになった。
◆個別性のある材質名称の獲得の程度と「存在論的カテゴリー」の影響:4歳児と6歳児の比較(小林春美:共立女子大学文芸学部)
「牛乳」「砂」のような個別性のない材質(non-solid
substances)の名称に比ベ,「鉄」「プラスチックのような個別性のある材質(solid
substances)の名称の獲得は難しく遅いことが指摘されている。本研究は,4歳児と6歳児を対象にしさまざまの事物を見せ,「これは何でできていると思いますか」と尋ねることにより,個別性のある材質名称の知識を調べた。事物はその材質名称を尋ねられたとき,85%以上の大人の被験者が一致して1つの名称を産出するものが選ばれた。実験の結果,4歳児では正しい材質名を産出するのはまだ難しく,緒についたばかりであることが分かった。個別性のない材質名称に比ベ,個別性のある材質名称の獲得は確かに遅いと言える。一方6歳児では,多くの材質について材質名をかなりよく正答できるようになっていた。4歳児では正答の割合は低いとは言え,全回答数中4割は,正答および,正答ではなくとも材質自体には注目できていることを示す回答であった。
このことから,この年齢では「存在論的カテゴリー」により個別性のある材質名称の獲得がすべて阻害されているわけではないと言える。
◆子どもの問題行動の発達:Externalizingな問題傾向に関する生後11年間の縦断研究から(菅原ますみ・北村役則:国立精神・神経センター精神保健研究所社会精神保健部・戸田まり:北海道教育大学札幌校・島悟:東京経済大学経営学部・佐藤達哉:福島大学行政社会学部・向井隆代:聖心女子大学文学部)
児童期の子ども(平均年齢10.52歳)の問題行動発生に関わる先行要因について,対象児童が胎児期より開始された縦断サンプル(約400名)を用いて検討をおこなった。10歳時の注意欠陥および攻撃的・反抗的な行動傾向(externalizingな問題行動)の予測因子として,子ども自身の乳幼児期からの行動特徴,家庭の社会経済的状況,親の養育など多くの要因が有意な関連を持っており,多要因の時系列的な相互作用によって子どもの問題行動が発達していくプロセスが浮かび上がってきた。また,発達初期に同じような危険因子を持っていたとしても,良好な父親の養育態度や母親の父親に対する信頼感などの存在によってこうした問題行動の発現が防御されることも明らかになった。これらの結果から,子どもの精神的健康をめぐるサポートの在り方について考察をおこなった。
◆中学生が2つの動体の時間の比較判断に用いる知識(谷村亮:広島大学教育学研究科・松田文子:広島大学教育学部)
中学生77名にCRTディスプレイ上を2つの車が同方向に走るのを見せ,「どちらが長い時間走ったか,あるいは同じであったか」という時間の比較判断を行わせた。課題には,「時間=終了時刻一開始時刻」の知識,及び「時間=距離/速さ」の知識のいずれを用いても論理的に正答することのできる課題,前者の知識を用いたときのみ論理的に正答することのできる課題,後者の知識を用いたときのみ論理的に正答することのできる課題の3タイプ各3課題があった。この9課題は,時間の比較判断のみを行う判断セッション,判断の理由も問う理由づけセッション,この両セッションの少なくとも一方で誤った課題のみを行う確認セッションの3セッションで,それぞれ1回用いられた。主な結果は次の通りである。(1)ほとんどの中学生は,課題によって知識を適切に使い分けることはできなかった。(2)多くの者は,「時間=終了時刻−開始時刻」の知識よりも,「時間=距離/速さ」の知識を用いて判断しやすく,それも「時間=距離」のような不完全な形で用いやすいようであった。(3)全体的にみれば,課題の正答率は,セッションごとに上昇した。しかし,「時間=距離」という不完全な知識への固執は強いようであった。
10巻2号
◆リスニング能力を指標とした就学前児の文章理解:作動記憶容量と既存知識の影響(小坂圭子:広島大学教育学研究科)
本研究の目的は,作動記憶容量と既有知識とが幼児の文章理解に及ぼす影響を検討することであった。リスニングスパンテストの結果から,年長児(5−6歳児)を作動記憶−大/小群に分けた。リスニング理解のレベルは文章検証課題を用いて査定した。実験1では知識活用が可能な状況での文章理解を検討するため,作動記憶−大/小群に対して日常的スクリプトを含む課題文と含まない課題文とを呈示した。その結果,スクリプトなし条件では高次レベルでの理解を査定する質問文で作動記憶−大群の成績の方が高く,一方,スクリプトあり条件ではその差が減少した。作動記憶−大群の方がより深い理解に至りやすく,また作動記憶−小群の理解を助けるスクリプトの役割が示唆された。実験2では知識活用が比較的困難な状況での文章理解を検討した。作動記憶−大/小群に対して,新奇情報を含む課題文と,同じ課題文をランダムに並べ替えたものとを呈示した結果,作動記憶容量の影響のみが認められた。課題文で用いた4種類のトピックの既知度に差が認められたため,推論問題の得点人数についてトピック毎に分析を行った。その結果,既知度の高いトピックであれば,作動記憶−小群も作動記憶−大群と同程度の理解に至っていた。以上の結果から,文章理解を説明する構成概念である作動記憶と知識との間に,知識の活用しやすさが作動記憶でのテキスト処理の効率性を高めるという関連性が示唆された。
◆挑発行為を頻発した自閉症幼児における他者理解の障害と発達(別府哲:岐阜大学教育学部)
自閉症の問題行動に,「他の人の怒りを引き出すことを明らかな目的として,執拗になされる行為」(杉山,1990)としての挑発行為がある。挑発行為は一方では,他の人の怒りを理解した上での行動として他者理解と関連しており,またネガティブではあるが社会的相互作用行動の一形態とも考えられる。本研究では,一時期挑発行為を頻発した就学前の自閉症児A児(CA2;11〜6;5)を取り上げ,社会的相互作用行動と他者理解の側面から事例検討を行い,挑発行為の意味を検討した。結果は以下の通りである。@社会的相互作用行動を,始発するのが大人かA児か,そして相手の行動を引き出すために行うのか情動や意図を引き出すために行うのかで,第I〜W期の4つの時期を抽出した。AA児が始発するがまだ相手の行動を引き出すために社会的相互作用行動を行う第V期に,挑発行為が出現した。B第W期になると相手の意図や情動を引き出すための社会的相互作用行動が出現した結果,挑発行為は消失し,代わりにからかい行動が出現した。C他者理解を検討したところ,第V期には行為者としての他者理解が成立するが,第W期にみられる情動や意図を有する主体としての他者理解はまだみられず,その意味で第V期に特徴的にみられた挑発行為は,他者の情動や意図を理解していないがゆえの行動と推察された。
◆歩行開始期における情動制御:問題解決場面における対処行動の発達(坂上裕子:東京大学教育学研究科)
歩行開始期における情動制御の発達的変化を調べるため,マイルドなフラストレーション状況における19人の子どもの行動を,生後18カ月,24カ月の二時点において観察した。子どもには,実験課題として,他者からの支援を積極的には受けられない状況下で,玩具の入ったロックのかかった箱を開けることが課された。子どもの行動は,対処様式(問題焦点型・情動焦点型)と,行動が向けられた対象の,二つの観点から評価,分析された。分析の結果,18カ月齢から24カ月齢にかけて,問題焦点型の対処行動の頻度には増加が認められた。中でも特に,より成功可能性の高い,洗練された方略の使用が多く見られるようになった。一方で,対処行動のうち,母親に対して向けられた行動(母親への援助や慰撫の要請)に関しては,減少が認められた。以上の結果より,歩行開始期には,対処行動が状況に応じてより有効に組織化されるようになり,これにともなって,自律的な対処への移行が推し進められることが示唆された。また,本研究では,情動焦点型の対処として複数の気晴らし行動が観察されたが,この時期に見られる気晴らし行動には,不快情動の沈静だけでなく,自発的な快情動の創出という,より積極的な機能があるのではないかという考察がなされた。
◆幼児における弟の内的状態を表す言葉の発達:弟の意図のくみとりに至るまで(岩田美保:日本女子大学大学院人間社会研究科)
本研究では,幼児の内的状態を表す言葉の獲得と弟の意図のくみとりとの関連について調べた。月齢21カ月の1名の男児と誕生したばかりの弟について17カ月間家庭において縦断的に自然観察を行い,ビデオに記録した。データについては2つの分析が行われた。第一に,幼児の弟及び自己についての内的状態語についての発話を調べた。
第二に,幼児における弟の意図のくみとりの発達的変化を調べるために,幼児の弟についての意図への言及や,その文脈が示されているエピソードを分析した。これらの分析によって心的な言及の発達の重要な側面が明らかになった。内的状態語のうち心的状態語,特に「知っている」のような心的動詞が自己および弟についての双方に発現するのは,対象児が32カ月の時点であり,37カ月時に増加していることがわかった。そのような心的状態語が発現する時期は,弟の意図を的確に把握し,また,より洗練されたやり方で予測することが可能になる時期とほぼ同時期であることがわかった。総じて,これらの結果により,幼児の自己及び弟についての心的動詞の獲得が,弟の意図の洗練されたくみとりと強く関連していることが示唆された。
◆一斉授業における子どもの発話スタイル:小学5年の社会科授業における教室談話の質的分析(藤江康彦:広島大学大学院教育学研究科)
本研究の目的は,一斉授業において,子どもが独自の発話スタイルをもつことを明らかにし,独自の発話スタイルをもつことの意味を検討することである。小学5年生の社会科単元「日本の水産業」の一斉授業(計7時間)に対し事例の解釈的分析とカテゴリーの数量的分析を併用し発話対象と発話内容の点から2名の対象児の発話スタイルを比較検討した。その結果,対象児の発話スタイルは次の点で異なっていた。一人は学級全体,教師,ひとりごとと,発話対象を柔軟に切り替えていた。発話内容は学業的内容と「おかしみ」を混在させたり切り替えたりしていた。もう一人は教師を主たる発話対象とし,課題解決の結果を直截的に表出していた。また,それぞれの発話スタイルには次のような意味があった。一人の,発話対象や発話内容の柔軟な使い分けには,自分の好きなように課題に取り組むと同時に他者との関係性上の軋轢を回避し,安定した授業参加を目指す意味があった。もう一人の,教師との閉鎖的なやりとりには.ほかの子どもとの関係性が不安定であるため,教師との相互作用によって心理的安定を求めるという意味があった。
◆3歳児の欲求,感情,信念理解:個人差の特徴と母子相互作用との関連(園田菜摘:お茶の水女子大学人間文化研究科)
3歳児が示す他者の欲求,感情,信念理解の個人差について,その特徴と母子相互作用との関連を検討した。51組
の母子の相互作用を家庭で観察し,ごっこ遊び場面と本読み場面における内的状態への言及頻度をカウントした。
その後,子どもに欲求,感情,信念理解を調べる課題を行った。その結果,3歳児の他者理解の特徴として,全体的には感情理解の成績が高く,信念理解の成績が低いが,どの課題においてもそれぞれ大きな個人差が存在していることが示された。このような他者理解の個人差と関連する相互作用要因について,欲求理解では母親の本読み場面での思考状態への言及とごっこ遊び場面での応答的な内的状態への言及との間で,信念理解については母親の両場面での思考状態への言及,ごっこ遊び場面での応答的な言及,本読み場面での繰り返し的な言及との間で,それぞれ関連があることが示された。さらに,子どもの月齢や性別,きょうだい数といった相互作用以外の要因と他者理解との間にはほとんど関連が見られなかった。このことから,3歳児の他者理解を促す要因として,家庭での相互作用,特に場面に応じた内的状態への言及の重要性が示唆された。
◆乳幼児期の子どもを持つ親における仕事観,子ども親:父親の育児参加との関連(福丸由佳:お茶の水女子大学人間文化研究科・日本学術振興会特別研究員・無藤隆:お茶の水女子大学生活科学部・飯長喜一郎:日本女子大学人間社会学部)
本研究では,乳幼児を持つ416組の父親・有職の母親・無職の母親を対象に,仕事観と子とも観について比較を行い,さらに仕事観,子ども観と,父親の育児参加との関係を検討した。仕事観は「充実・自己実現」「制約・負担」
「仕事中心」「経済的手段・義務」の4因子,子ども観は「充実・楽しみ」「制約・負担」「社会的存在」「生きがい」
「無関心・低価値」の5因子が得られ,これをもとに育児参加との関連を検討した。その結果,父親の育児参加は,労働峙問という物理的な要因に加え,「仕事中心」の仕事観,「無関心・低価値」の子ども観が関連しており,さらに価値観の背後には,職場や経済的な状況などの要因が関係していることが示された。これらのことから育児参加については,複数の役割を持つ中で仕事や親であることにどのような意味を感じ,重み付けをするかという意識の側面を考慮に入れる必要があること,また職場を初めとする社会要因などを含めた分析が重要であることが示唆された。
◆新入幼稚園児の友だち関係の形成(謝文慧:広島大学教育学研究科)
本研究では,新入幼稚園児の移行過程において,安定した友だちや,「仲良し」や「親友」といった親密度の異なる友だち関係がいつ,どのように形成されていくのか,また,「入園前の知り合い」や「入園前の友だち」が移行過程にどのような影響を及ぼすのかについて究明することを目的とした。4歳児8名(男児4名,女児4名)の自由遊び時間における幼児間の交渉を,4月の入園時から10月中旬まで6期に分けて観察した。観察内容は,対象児と交渉を行った相手の名前,その相手との交渉回数,交渉持続時間であった。各対象児の社会的ネットワークでの連続交渉回数と延べ交渉時間を検討し,安定した友だち関係,仲良し関係と親友関係は,6月から7月中旬にかけて(入園後1カ月半から3カ月)形成され,さらに,親友関係は10月にまで持続されることが明らかとなった。
「入園前の知り合い関係」や「入園前の友だち関係」は移行初期においていずれも新入幼稚園児の社会的ネットワークに影響していた。しかし,長期的には「入園前の友だち関係」のほうがより強い影響を及ばしていた。
◆発達障害児におけるセルフ・マネージメント・スキルの獲得と般化(山本淳一:筑波大学心身障害学系・國枝ゆきよ・角谷敦子:明星大学人文学研究科)
3名の発達障害児を対象として,セルフ・マネージメント・スキルの成立,維持,般化のための条件を検討した。
研究1では,セルフ・マネージメント・スキルを,以下の4個の行動要素に課題分析した。@課題を選択しそれを言語化する「自己教示」,A選択した課題を行う「課題遂行」,B次に行う課題を選択する「次課題選択」,C課題の完了を聞き手に報告する「完了報告」。総課題提示法,時間遅延法によってそれぞれの行動構成要素を形成した。
その結果,第3者からの指示を最小限にした状況で複数の課題をひとりで遂行する行動が獲得され,課題間,課題量,場面間,聞き手間,家庭場面において般化したことが示された。研究2では,参加児がひとりで解決不可能な課題を設定し,辞書を調べて正答を記入する「辞書使用行動」の形成を行った。プロンプト・フェイディング法,時間遅延法を適用し指導を行った結果,すべての参加児において,高い割合で辞書使用行動が生起した。また,辞書を参加児から離れた位置に設置することで,かつて辞書を見て答えていた問題についても辞書なしで正答する「自己学習行動」が獲得され,家庭場面においても定着を示した。これらの結果は,確立されたセルフ・マネージメント・スキルの汎用性という点から検討された。
◆幼児における会話の維持:コミュニケーション連鎖の分析(深田昭三:広島大学教育学部・倉盛美穂子・小坂圭子:広島大学大学院教育学研究科・石井史子:中村病院・横山順一:北九州市役所)
本研究の目的は,幼児がどのように会話相手の発話に自己の発話を関連させ,会話を維持しているのかを検討することであった。このため3,4歳児50名のペア遊び場面での発話を収集した。まず子どもたちの8分間のペア遊びでの発話を書き起こし,すべての発話を8つのカテゴリー,つまり4つの発話機能(申し出・要求・陳述・質問)とこれらに対する4種類の返答に分類した。また,すべての発話についてもう一度,関連した,あるいは非関連の反応が後続していたのか否かについても判定した。この結果,陳述に対する関連反応の数は発達的に増加し,非関連反応を上回るようになることが見出された。また陳述への返答に対しても,関連反応が後続するケースが発達的に増加していた。陳述で始まる2ターンの発話連鎖に限定して分析を行った結果,「陳述−返答−返答」という連鎖のみが発達的に増加していた。また,最初の陳述に対して新情報を付加して返答する場合に,この連鎖が出現することが多かった。これらの結果から,単に返答するだけではなく,新情報を提供して柏手の反応を引き出すような発話の増加によって,幼児がより長い発話連鎖を維持する能力が獲得されるのではないかと考察された。