日本発達心理学会
フォントサイズ

ワークショップ・シンポジウム

2011年度国内研究交流委員会のお知らせ

■地区シンポジウムのご案内

2011年度地区シンポジウムは盛会裡に終了いたしました。
多数のご参加、誠にありがとうございました。


 国内研究交流委員会では,10月に中国・四国地区,11月に関東地区において地区シンポジウムを開催する予定です。
 どちらのシンポジウムも,臨床発達心理士資格更新研修会・学校心理士資格更新研修会(B)となります。

■中国・四国地区シンポジウム

【テーマ】「発達心理学は子どもの教育や日常生活に何を示唆できるか?」
【日 時】2011年10月30日(日)13時〜16時
【場 所】岡山大学教育学部 本館2階 202・203号室
      会場へのアクセス方法(シンポジウムのポスター)

●話題提供:
  富田 昌平(中国学園大学)「子どもの想像世界に対する認識のゆらぎと発達」
  林 創(岡山大学)「うそをつけるようになるのは悪いことか?」
  湯澤 美紀(ノートルダム清心女子大学)「ワーキングメモリの理論を踏まえた学習支援の可能性」

●指定討論:橋彌 和秀(九州大学)

●司 会:林 創(岡山大学)

【概 要】発達心理学は,心の発達の様子を明らかにする学問です。しかし,それで終わらせるのではなく,そこで得られた成果から教育や日常生活への示唆を考えることで,初めて発達心理学の研究が大きな意味を持つと考えられます。本シンポジウムでは,岡山近辺で実践の場と交流を持ちながら得られた研究から,教育や日常生活に関して,どのようなことが見えてくるかを考えたいと思います。焦点とする話題は次の3つです。
第1は,「想像世界の発達」です。子どもは幼い頃から,ごっこ遊びの世界で戯れ,さまざまな文化的想像物と出会います。そこで,幼児期から児童期における「想像と現実の区別」の認識のゆらぎと発達を概観し,幼少期に想像的事象と出会う発達的意味について考察します。第2は,「うその発達」です。私たちは幼い頃から人を欺くのは悪いことだと教えられますが,ときには相手を守るためにうそをつくこともあります。そこで,幼児期から児童期のうその発達の様子を紹介し,うその発達に保護者や教員はどのように関わっていけば良いかを考えてみます。第3は,「学習支援」です。私たちはワーキングメモリ(次々と情報を保持しつつ処理する記憶システム)と呼ばれる「脳のメモ帳」を活用しながら日々の生活を営んでいますが,幼少期において大きな個人差があります。そこで,教室場面でその個人差を踏まえた学習支援を提案するとともに,発達障害とワーキングメモリの関連を紹介し,個別支援を行う際の留意点を挙げてみます。
以上のテーマについて,指定討論者からコメントを得て,子どもの心の発達の豊かさと教育や日常生活への示唆について,参加者の方々とともに考えていきたいと思います。
(担当者:林 創)

■関東地区シンポジウム

【テーマ】「子どもとメディア―よりよい映像メディアとのつきあい方を考える―」
【日 時】2011年11月20日(日)13:00〜16:00
【場 所】帝京科学大学千住キャンパス 3号館講堂

●話題提供:
  菅原 ますみ(お茶の水女子大学)「乳幼児期のメディア利用と親のかかわり」
  中原美和((株)NHKエデュケーショナル)
   「乳幼児向けTV番組『いないいないばあっ!』の制作現場から」
  松田 剛(東京大学)「テレビゲーム中の脳活動からわかること,わからないこと」

●指定討論:開 一夫(東京大学)

●司会:旦 直子(帝京科学大学)

【概要】現代社会では,テレビ,ビデオ/DVD,ゲームといった映像メディアが家庭内にかなり浸透しています。こうしたメディアは私たちに多くの情報や楽しみを提供してくれる頼もしい存在ですが,一方で,発達途上にある子どもたちへの影響力の強さが心配される対象でもあります。こうした懸念の増大に伴って,最近は乳幼児期や児童期における映像メディアへの接触の是非についての議論が活発化してきています。こうした議論は子どものよりよい発達・教育を考える上で大変重要ですが,それが実証科学的なエビデンスに基づいていない場合,是非の議論はともすれば水掛け論に陥りがちです。
そこで,本シンポジウムでは,テレビやゲームなどの映像メディアが乳幼児・児童の発達に及ぼす影響について,これまでに分かっている最新の科学的知見とそこから言えることを研究者の方々に紹介していただきます。また,子ども向けテレビ番組の制作者の方に,実際の番組がどのように作られていくのかや現場でのニーズをお話しいただきます。研究で得られている知見と番組制作の実際をもとに討論し,子どもとの生活の中でどのように映像メディアとつきあっていけばよいのかについて参加者の皆様とともに考えていきたいと思います。
(担当者:旦 直子)