日本発達心理学会

代表理事挨拶

第2代代表理事(第2・3期)
本郷一夫

 2014年3月20日より、一般社団法人日本発達心理学会の代表理事を務めさせていただくことになりました東北大学の本郷一夫です。一般社団法人化後としては、子安増生先生に続き2代目の代表理事、日本発達心理学会の設立時から数えると7代目の代表ということになります。1989年12月の学会設立以来、開かれた学会運営と常に新たな試みに挑戦してきた日本発達心理学会の歴史と伝統をしっかりと受け止め、理事、代議員などの役員、各種委員会委員の方々とともに日本発達心理学会のさらなる発展に取り組んでいきたいと思います。
 代表理事としてこの2年間に取り組みたいと考えている課題は2つあります。1つは、組織的研究の促進です。具体的には、大規模データの収集を可能とする研究の促進と縦断的データの蓄積です。個々の研究者の研究はもちろん貴重です。しかし、子どもの発達過程やメカニズムの解明を促進するためには、基礎となるデータが必要だと思います。同じような対象に対して同じようなアプローチをしたとしても研究間で結果が異なる場合があります。それは誤差の問題なのか、対象の違いなのか、あるいは統制されていない要因の影響なのかといった点については、個々の研究の積み重ねだけでは解決できないところもあると思います。その点で、発達心理学会として組織的な研究を組織化し先導していけるとよいのではないかと思います。
 2つ目は、発達心理学会の社会的役割を意識した活動の充実です。東日本大震災後の支援においても発達心理学的アプローチが重要であると思います。すなわち、時間の経過とともに、子どもは発達し、子ども自身の認識が変化するだけでなく、抱える問題や保護者との関係も変化します。その点で、時間の経過とともに、ますます発達心理学的アプローチの役割は重要性を増してくると思います。また、児童虐待、いじめ、特別支援教育の問題など現代社会が抱える問題は多くあります。その1つ1つの問題の解決や改善に対して日本発達心理学会が果たすべき役割は大きいと思います。私たちはその役割をしっかりと認識することによって、社会の中に位置づけられ、社会の発展と新たな社会の形成に寄与する学会を目指していけたらと考えています。
 皆さんと一緒に、発達心理学会の発展に取り組んでいきたいと考えています。よろしくお願いします。

2014年4月8日