日本発達心理学会
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ワークショップ・シンポジウム

2012年度国際ワークショップと公開講演会のご案内

2012年度国際ワークショップ及び公開講演会は盛会裡に終了いたしました。
多数のご参加、誠にありがとうございました。
委員長 小林 亮 (玉川大学)
makoto(at)edu.tamagawa.ac.jp((at)を@に置き換えてください)

日本発達心理学会が毎年夏に開催している国際ワークショップですが、今年2012年は、講師にロイス・ホルツマン(Lois Holzman)先生をお招きして行われます。受け入れ担当者は、茂呂雄二先生(筑波大学)、香川秀太先生(大正大学)です。ホルツマン先生はヴィゴツキー研究者として、またソーシャルセラピーの指導者として国際的に高名な発達研究者で、ニューヨークにあるEast Side Institute for Group and Short Term Psychotherapyの所長を務めておられます。今回の国際ワークショップでは、ヴィゴツキー理論の視点から、発達臨床支援の最前線の問題について、興味深い実践を交えた研修を行って頂く予定ですので、皆さまには是非ふるってご参加下さい。

<ホルツマン先生の紹介>
 受入担当者 茂呂雄二(筑波大学) ymoro(at)human.tsukuba.ac.jp((at)を@に置き換えてください)
 受入担当者 香川秀太(大正大学) s_kagawa(at)mail.tais.ac.jp((at)を@に置き換えてください)

ホルツマン先生は、1970年代にロックフェラー大学でマイケル・コールらと行なった生態学的認知研究で非常によく知られていますが、それ以来一貫して、ヴィゴツキー理論の高度な理論的理解にもとづきながら、同時にそれを象牙の塔に閉じ込めることなく、街場のコミュニティービルディング活動を広げていく、実践的な発達臨床活動として研究を継続してきました。その成果はたくさんの書籍と学術論文にアウトプットされてきました。
ホルツマン先生が所長を務める、East Side Institute for Group and Short Term Psychotherapyは、ニューヨークのマンハッタンのど真ん中にあります。政府・行政からの資金援助をうけず、賛同者の寄付とボランティアでまかなっている、まったくの独立系組織です。このような組織の事例は、震災後の日本における発達臨床活動の持続可能性を考える上でも参考になると思います。その意味でも国際WSにふさわしい講師だといえます。
このInstituteは、さまざまな発達臨床のプロジェクトを展開しています。そのうちのひとつはAll Stars Talent Show Networkというものです。貧困地区のアフリカン・アメリカンの子どもたちを、Instituteが保有する劇場のステージにあげることで、新しい未来に結びつく経験を提供しようとしています。またPerformance of a Life Timeというプロジェクトでは、遊び心に満ちた劇的パフォーマンスにもとづくワークショップを企業にアウトリーチすることで、企業内の部局の人々の自己理解や人間関係理解を促すというものです。参加企業には、AIGやティファニーなども含まれています。これらのプロジェクトのいずれもが、ヴィゴツキーの考え方の拡張、つまり遊びのZPDの中で大人の情動も開放されるという考え方にもとづいています。
今回のワークショップでは、ヴィゴツキーとマルクス理論の理解から始まり、ホルツマン先生が手がけてきた30年の実践を紹介されます。お話は、ホルツマン先生が2009年にRoutledgeから出版されたVygotsky at Work and Playにもとづいて行なわれます。言語の壁を越えるためにも、テキストがあった方が良いだろうという判断です。しかしテキストを読むのではなく、実践の映像等も紹介してもらいながら、ヴィヴィッドでインタラクティブに進行させたいと思います。
ワークショップは基本的には英語で行われますが、理解を助けるための部分通訳を提供する予定です。通訳は竹内身和先生(立教大学)にお願いしました。
国際ワークショップ
8月28日(火)に懇親会が予定されています。懇親会参加希望者には、ワークショップ初日に5,000円前後を別途いただく予定です。
なおワークショップ参加費には宿泊費は含まれておりませんので、宿泊が必要な場合には各自で手配をお願いします。
プログラム

第1日 2012年8月27日(月)

9:00〜 受付
10:00〜10:10 開会の挨拶
10:10〜12:10 セッション1 ヴィゴツキー派ソーシャルセラピーの方法論
[ソーシャルセラピーの基本的考え方とその背景となる、ヴィゴツキーならびにマルクスの考え方を紹介します。]
13:00〜15:00 セッション2 ヴィゴツキーとセラピー:情動の発達
15:30〜17:30  ショートプレゼンテーション1 数件

第2日 2012年8月28日(火)

10:00〜12:00 セッション3 創造的模倣と他者の招き入れ:ZPDと学び
13:00〜15:00 セッション4 仕事場におけるソーシャルセラピー:自己の見つめ直し
15:30〜17:30 ショートプレゼンテーション2 数件
18:00〜20:00  懇親会 (大正大学 2号館8階)

第3日 2012年8月29日(水)

10:00〜12:00  セッション5 関係の結び直し
13:00〜15:00 ショートプレゼンテーション3 数件
15:00 閉会
<ワークショップ参加者によるショートプレゼンテーションの募集>
ワークショップの全日を通じて、参加者からのショートプレゼンテーションの時間を設けます。学習、発達臨床、社会的支援に関する発表者の研究を話題にして、参加者全員で議論したいと思います。ホルツマン先生から直接コメントをもらえるよい機会ですので、ふるってご応募ください。
希望者は、英語の発表タイトルならびに200語のアブストラクトを、茂呂までメールの添付ファイルでお送りください。応募者多数の場合には、ホルツマン先生に選んでいただくこともあることを、ご了承ください。 この国際ワークショップに先立ち、2012年8月26日(日)に、お茶の水女子大学にて、ホルツマン先生の公開講演会が開催されます。こちらもふるってご参加下さい。
<公開講演会(通訳付き)>

なお、今回の公開講演会は、日本発達心理学会主催、(財)発達科学研究教育センター・日本臨床発達心理士会との共催として行なわれます。
また日本臨床発達心理士会の認めた資格更新講習会として、参加者は臨床発達心理士の資格更新ポイント(1ポイント)が取得できます。