日本発達心理学会

代表理事挨拶

第3代 代表理事(第4期)
氏家達夫

 2018年3月22日より、一般社団法人日本発達心理学会の代表理事を務めさせていただくことになりました氏家達夫です。一般社団法人化後としては、子安増生先生、本郷一夫先生に続き3代目の代表理事、日本発達心理学会の設立時から数えると8代目の代表ということになります。1989年12月の学会設立以来、開かれた学会運営と常に新たな試みに挑戦してきた日本発達心理学会の歴史と伝統をしっかりと受け止め、理事、監事、代議員、各種委員会委員の方々とともに日本発達心理学会のさらなる発展に取り組んでいきたいと思います。
 代表理事として、日本発達心理学会の将来について、私なりの展望を少しだけ表明いたします。まず、前代表理事であった本郷先生の発達研究についての課題認識を私も共有したいと思います。本郷先生が課題としてあげたのは、大規模データの収集を可能とする研究の促進と縦断的データの蓄積を可能にする組織的研究の必要性と発達心理学会の社会的役割を意識した活動の充実の2つでした。私は、もう1つ課題を付け加えようと思います。それは社会における発達心理学会の価値を高めていくことです。残念ながら、これまでわれわれは、そのことにそれほど積極的ではなかったように思います。現実に起こっている多くの問題の解決に、発達心理学は大きな力を発揮することが可能なはずです。われわれの研究から、さまざまな問題を見つけ出し社会に警告することが可能なはずです。こんなことを申し上げたからといって、会員の皆さんの研究の方向性をしばる気はまったくありません。一人ひとりの研究者の独創性にもとづいて幅広い、そして質の高い研究を行うことは研究者としての責務ですし、そのような独創的な研究活動こそが学会の屋台骨です。私は、そのようにして蓄積してきた研究知見を線でつなぎ、面にしていくことで、われわれのしてきたことの応用可能性や有用性、発達心理学の社会的価値を高めることにつながるのではないかと考えているのです。それは、一人ひとりの研究者のすべき仕事というより、学会の仕事というべきでしょう。緊急性の高い問題が起こった時には、学会として問題の本質を解明し、発達心理学的にどうその問題を解決していけばよいのかを研究するプロジェクトを立ち上げることも必要かもしれません。われわれの持てる力を社会に役立てるための仕掛けを、これから検討していきたいと考えています。
 学会は一人ひとりの自律的な研究者の有機的なシステムですから、代表理事が何かをしたいといっても大して影響はないと思います。そもそも、何といっても代表理事、理事、監事などの役員は黒子のようなものです。社会で役立つにせよ、世界で活躍するにせよ、舞台の上で演じるのは千両役者としての会員の皆さんです。会員の皆さんのすぐれた研究こそが、学会のすべてです。皆さんがさらにいっそうすぐれた研究成果を上げていけるよう、われわれ役員一同力を合わせて、できる限りの努力をするつもりです。

2018年4月8日